ミャンマーってどんな国?学校建設プロジェクトの特徴:詳細
| 事業対象地域 | ミャンマー連邦シャン州 ミャンマー連邦:面積676,553km2、人口約55,000,000人(135民族) シャン州:面積155,800km2、人口約5,500,000人 |
建築学校数 | 10校 | 必要経費 | 300,000ドル(約3,000万円) 1校30,000ドル×10校分。ドル100円で計算(送金時のレートで変動) 30,000ドルには校舎建設資金のほか、地域開発収益事業の支援プロジェクト、農家の生活・収入向上のための農業改良普及プロジェクトに必要な経費を含む。 |
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事業の背景と目標
社会的背景:
ミャンマー連邦最大の州であるシャン州には多数の少数民族が居住している。同地域は辺境であり、中央政府と内戦状態にあった少数民族武装組織の勢力下に長らくあったエリアもあったことから、社会インフラや住民の生活基盤の整備が都市部に比べ著しく遅れている。今日では反政府勢力と政府との歩み寄りが進んでいるが、同地域の今後の安定的発展のためには次世代を担う人材を育成することが急務である。しかしながら、シャン州の農村地域では貧困や学校不足のため、教育を受ける機会を与えられていない子供が多く、就学率も識字率も都市部に比べ低いのが現状である。
上記の一般的状況に加え、2010年はかねてより現政府が言明している民主化に向けた総選挙が予定されている。現時点では(2010年5月1日)選挙の日程が明確になっていないが、関連法規などが提示されはじめている。さらに、現内閣の総辞職と選挙に向けた暫定政府発足が近く実施されるとのこと。外国人の国内での行動、移動に対する規制は厳しくなっているのが現状である。
教育環境:
本プロジェクトの中心となる教育分野においては、政府の関心も高く、住民の意識も高い。また、歴史的にも僧院での教育が重要な役割を果たしてきて、成人の識字率は94.83%と非常に高い(政府発表2008年)。
然しながら、現地の活動を通じて伺い知る情報と統計の数字には大きな乖離があるように感じられる。このことは都市部と農村部、辺境部で大きな較差があることを伺わせるものである。その原因としては、学校施設の絶対数の不足や老朽化等によって当該地域の就学児童全てを受け入れられないこと、学校運営経費に対する政府の十分な予算措置がないこと(学校経費は主に児童の両親、地域住民からの徴収などで賄われることが多い)、教員が不足していることなどが学校側の問題として挙げられ、同時に、社会的な要因としては、貧困世帯では子供に教育を受けさせる余裕がなかったり、子供が労働力として期待されることなどが、児童の就学を阻害することに繋がっている。
ミャンマー全土で相当数の教室数の不足、校舎の老朽化が存在し、かなりの数の学校では校舎の建替えや補修が必要と推計されている。また、各学校には、教育省から教員が公務員として派遣されているが、教員の月給は約40-60ドルと低く、その収入だけで生計を立てることは不可能である。都会の場合は副業(家庭教師等)による収入や、同居家族の収入を当てに出来るが、農村等の僻地に単身で配属された場合、通常は村からの支援(給与補助、米・野菜などの支給)を得てどうにか生活しているのが現状である。それでも慣れない僻地生活が耐えられず、故郷に逃げ帰ったり、特別な縁故関係を使って派遣地に籍を残したまま都市の学校で教員をしている場合も多い(籍だけ残っている学校は当然実質上の欠員となる)。養成される教員の数が絶対的に不足していることを背景に、農村の学校には充分な数の教員が教育省によって配置されておらず、教師1名が2~3学年を一教室で同時に面倒をみるということも頻繁にある。教師不足解消のため、学校(実際は地域)が独自に教員を雇用する場合も多々ある
この状況を打開するのは簡単ではないが、地域住民が校舎建設に協力し、その学校の運営資金創出の機会を供与(地域開発事業:ソフトプロジェクト)してゆくことは、学校運営が地域住民の自己負担で成り立っていると言っても過言ではない現状のなかで、住民の教育に対する負担を軽減し、学校運営資金創出事業を通じて地域の活性化につながるという意味で非常に意義があることと考えている。日本でも教育に経費が掛かりすぎるとの議論があるが、ミャンマーにおいてはその所得水準からして日本よりさらに過酷な教育費の支出を強いられているのが現状である。
本プロジェクトでは農業改良普及事業にも注力している。本プロジェクトの活動地域の住民の殆どの収入源が農業であることを考えれば、この事業も極めて重要なものと考える。
【事業の目標】
- 1) ミャンマー北東部に位置するシャンの辺境・農村地域において、社会的優先度の高い初等教育現場のハード(校舎建設)、ソフト(地域開発事業による学校運営に関する地域住民の負荷の減小)両面での充実を図り、これを一つの核として、持続的な地域社会の発展を促す仕組みづくりを実践する。
- 2) プロジェクトの成果が持続的に地域社会に貢献し、波及的に当該地域の発展と安定化の促進に繋がること。
- 3) 具体的な事業活動として、初等・中等教育施設の整備、これら施設整備を行った学校の持続的な運営と同校周辺の村落開発を目指した地域開発事業(収益事業)に対する支援、貧困世帯の子供の就学機会を高めるために農家の生活向上を目的とした農業改良普及活動、その他地域の教育環境向上に繋がる事業を行う。
活動内容紹介
1) 校舎建設プロジェクト
校舎建設プロジェクトを実施する上で最も配慮すべきことは、地域住民の自立心と自主性を尊重した綿密な協議を行うことであり、地域住民なりの考えや意向が校舎建設プロジェクトに反映されることで、その後の学校の利用・運営に対する責任感を高めることに繋がる。そのため、建設の準備・実施段階では地域住民とのコミュニケーションを十分に図り、地域住民側の責任・役割分担を定め、彼らの自助努力を出来る限り引き出すような働きかけを行う。支援対象サイトの状況によって、校舎建設は増築、改築、新築のいずれかになるかを検討し、新設校舎に新たに必要となる備品(机椅子、黒板等)の整備についても配慮する。また、教育の場の質の向上、地域のプライマリーヘルスケアの充実という視点から、学校内のトイレ、給水タンクの整備も支援の対象とする。
また、本事業ではミャンマー政府教育省との調整・連携を前提としているため、校舎建設後には当該校に必要な教員数が確保され、施設の充実(教室数の増加)に伴う小学校から中学校、中学校から高等学校への昇格などの可能性も高まる。学校が遠いことを理由に上級学校進学を断念する児童が多いことを考えれば、受益者は当該校の位置する校区に留まらず、周辺地域の教育事情も併せて改善されるものと期待する。
2) 学校運営支援を目的とした地域開発収益事業の支援プロジェクト
先に述べた学校の運営、児童の就学に係る問題の解決を図るため、校舎建設後にそれまでの地域学校建設委員会を地域開発委員会として再構成し、これが主体となって学校の運営支援を行うための地域開発事業(収益事業=ソフト・プロジェクト)を実施する。
このソフト・プロジェクトの原資の提供、計画策定・運営の指導を行い、個別技術については人材や情報の提供などを行う。ソフト・プロジェクトは学校支援のみをターゲットとしたものから、村の生活向上を促すための地域開発的要素が大きいものまで、地域それぞれのニーズや開発に対するビジョン、キャパシティに応じて住民自らがメニューを決めることが前提となっており、これまでも農園、養豚銀行や畜産技術の向上、農業金融、あるいは水力発電による電力供給、簡易水道、トラクター購入により公共交通手段の提供に至るまで、様々な取り組みがなされてきた実績を持っている。これら事業による収益の使途については、学校運営支援を最優先とすることが前提となっているが、余剰収益に関しては住民の生活向上を図るためのその他の地域落開発活動などに使うことも認めており、これによって直接的にも間接的にも教育環境の改善に寄与することが期待される。
3) 農家の生活・収入向上のための農業改良普及プロジェクト
農業を生業とする住民が大多数を占める本プロジェクト対象地域では、「循環型有機農業の技術移転による作物の生産性の向上」が実現すれば、直接的に住民の生活・収入向上を支援することができるため、他NGOとの連携による技術普及、資料の配布やデモンストレーションの実施、資材の貸出しなど、対象村内の各世帯への直接的・間接的技術指導を実施する。
本プロジェクトで採用する循環型有機農業技術(土着菌堆肥や竹酢液を利用した農業生産性向上)は、これまで日系NGOがミャンマーで技術移転し、多数の実績を残してきたものである。農業指導では難しいとされる技術移転・成果発現の即効性についても十分に検証されており、非常に簡易且つ安価に実施できる技術であることから、短期間で貧困家庭の生活向上、ひいては児童の就学率向上に寄与できるものと期待している。
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