浦田先生 ミャンマー訪問インタビュー記事掲載!

2012年6月 1日

 

 

urata1.JPG日時/場所:  311日/ヤンゴン国際空港

インタビュアー:長谷川

インタビュイー:浦田先生

 

Q.初めてのミャンマー訪問はいかがだったか。

 

A.訪問前に色々な情報をいただき、どういう状況か心配していましたが、実際行ってみると素晴らしい国だなと思いました。遅れているところはたくさんありますが、そういうところではなくて、人間性というものが素晴らしい。純粋な人達が多いな、というのが感想です。

 

Q.世界最貧国の一つで、アフリカより貧しいところもある。貧しさについてはどう感じたか?

 

A.ヤンゴンは別として、今回行ったシャン州で考えると、農業中心で、それ以外の産業はなかなかない。貧しさは感じるんですが、その中でも活気が非常にあるし、雑貨屋さんみたいなところは、どんな田舎に行ってもある。勤勉さも持っているし、今後どういう産業が(生まれるか)というと難しいが、発展は期待できると思う。そういう人間性、素質を持っているのではないかと思う。

 

Q.ミャンマーは世界的な仏教国で、助け合いの社会。昔の日本の姿とも言われる。信仰心や家族の仲の良さ、日本人との親和性などどう感じたか。

 

仏教徒であるけれども、神棚を持っているという話を聞き実際に見て、そういう意味では日本人に近い。またその中で八百万の神を信じている人もいる。

古きよき日本を思い出させ、非常に似通っているという事を感じましたし、日本が忘れてしまった大事な部分がまだまだ残っていて、そういうところは豊かな国だな、と。日本が失くしてしまいつつある家庭とか家族の姿とか、そういうものを持っている意味では、共感できるし、逆に裕福な国だなという感想を持ちました。

日本が支援させてもらうだけじゃなく、学ばさせてもらうところもたくさんある。日本人が忘れてしまった心を思い出す。さらに日本が学ばさせていただいて、日本が変わっていく。そういう交流が必要な気がしました。

 

Q.TFで支援したロンカン小学校。道中車のパンクなどトラブルもあったが、学校について総括を。

 

我々がTFで10校造ったということですが、最初はこの費用(2500万円で10校)でできるのか、という不安もあった。今回行ってみると、確かにできてるし、運営をセダナーが指導して、地域で自主的に運営できるようなシステムを作っていて、すごいなと思いました。我々、日本歯科医師会が初めて関わった事業なので、10校だけでもすごいと思ったんですが、(日本財団は)この10年で180校以上作られていて、その中の10校ということで、

ミャンマーの広大な土地を考えると今後もまだまだ続けていく意義があると思いました

 

 

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Q.ミャンマーの子どもたちと触れ合っていただいた。なかなか外国人と会うようなことはない子たちだが感想は?

 

A.非常にシャイだけど、人懐こい。素直。子どもを大切に育てているなという印象。

 

Q.治療はできなかったが歯のチェックをしてもらった。子どもたちの口腔内の状況は?

 

A.まだ乳歯の小学校の低学年はむし歯が結構あった。日本は(むし歯が)減っているので、多いような気がするが、(日本の)地方でも、まだそのレベルでむし歯をもっている子はいるので、言い方は悪いが、デンタルIQがまだ普及していない地方の状況とあまりかわりない。その中でも、まだまだ着色とか歯石とか付着しているという意味では、歯みがきは、少し遅れている気がする。

また固いものを食べているからか分からないが、咬耗が結構あった。固いものを噛むと歯面を清掃する作用がある。永久歯列の方は(診た)人数が少なかったけれど、むし歯が全くない子が多かったので、関係があるのかなという気がします。

日本人は粘着質のものを食べているから歯周病が出てくる。また顎が小さくなって、歯並びが悪くなっている。ミャンマーの永久歯の子は歯並びがよかった。

 

Q.むし歯の子を治療したくても勝手にはできない。気持ち的に苦しかったのでは?

 

我々はむし歯を見ると治療したくなる(笑)

タウンジー歯科医師会とか、ヤンゴンの先生方と話をして、金銭的には難しいけれど、治療をするというような協力は十分できるということだったので、学校にたまに行ってもらって、歯科の治療も広がっていくとより素晴らしい事業になる。ミャンマーの歯科医がこの事業に関われるということに意義がある。

 

Q.今回行ったロンカン村はシャン州にある。シャン族とパオ族、インダー族が住んでいるが、民族的な部分はどのような感想を持った?

 

A.空港では、首長族も見かけた。部族同士でのいがみ合いみたいなものは、全く感じられず、和気あいあい。ただ、それぞれの民族で協調しあっているなという印象でした。

 

Q.歴史的にも日本とミャンマーは親和性が高い。ミャンマー人のホスピタリティも感じていただいたと思うが、ミャンマーと日本の友好関係を広げていく意義は?

 

A.ミャンマー人は、日本人もそうだが、外から見るとぶっきらぼう。

実際話しをすると親切で、優しい人ばかり。今回の通訳さんとガイドさんも熱心にしてくれた。日本人のことをきちんと理解してくれていたので、素晴らしい交流ができた。こういう人たちが友好を広げる力になる。親日的な人たちが多いことを改めて感じた。

 

Q.最後にTFについて、そして参加している先生方に一言お願いします。

 

A.我々が実際にミャンマーに行って体験をして肌で感じてきたことは、日本歯科医師会の会員の先生方にもどんどんお伝えしていかなければならないなと、責任を感じた。(参加歯科医師が)1万人を突破するような、そういう拡大を期待したい。それが新たな目標だし、我々の責任かなと感じました。

我々は、自分たちがやっている仕事や活動が社会貢献だと自負していますが、それ以外にもやらなければならないことがあるということを改めて感じました。歯科の本業だけが社会貢献じゃないということを広く知って頂きたいと思いました。

最後に今回ミャンマーを訪問させて頂いた事に感謝致します。

 

 

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(文責:田代)